「待ってろ。ぜってぇ、俺が守ってやるから。お前は黙って守られてな」
久しぶりに見る、自信満々な葵の姿に私は高鳴る胸を抑えた。
力強い、真っ直ぐで澄んだ瞳にぐらぐらさせられて。
私は、葵を直視できなくてかすかに視線をずらす。
「葵…、ごめん。凜と隼人に気を付けろって言われてたのにこんなことになって」
「ホントだな」
「う…」
「ちなみに、璃依。お前が中学の時、他校の生徒に暴行して学校を転校させられてたっつーのは、ホントか?」
「え…」
どくっ…
心臓を鷲掴みされたかのように、全身の血がひいた。
どうして、それを…。
あの暴力事件は、人には知られたくなかったこと。
特に葵には。
どうしよう…
葵にだけは、知られたくなかった…

