なんで、そんな切なそうな眼をするの?
葵の、憂いを帯びた雰囲気に
私まで淋しい気持ちになる。
その時だった。
「あお…っ!?」
突然私の腕は勢い良く引かれ
私は、葵に抱き寄せられていた。
「…っ!!」
懐かしい感触に、心が震えた。
この優しい腕も匂いも、温かさまで
全てが、愛しい。
「葵…。バカ、アンタなんか大っ嫌いなんだから…」
「もういいよ、それで。その方がお前らしくて調度いい。」
耳元で、息を吐き出すようなかすれた声で呟かれる。
それが、甘い痺れとなって全身を駆け巡る。
「…っ」
「璃依…。忘れんな、俺はお前の味方だから」

