俺様彼氏と空手彼女






















その途端、自分の言ったことに激しく後悔した。







「や…っ、今のは違くて…」









必死に身振り手振りで説明するのだが、今さら取り消せるわけもなく。







私の声だけが、静寂に包まれた廊下に響く。











だ、だめだぁー…。





恥ずかしすぎるよ…っ





今さらこんなこと言って、葵困ってるよぉ。



さっきから黙ったまんまだし…。








も、もうこれしかない…!!










この場からの、逃走…!!











私は逃走を図ろうと、かき集めた教科書やらを持ちなおして無言で葵の横を走りぬけようとした。











けどそれは叶わなかった。















ぐいっ、と腕を掴まれて私の体が引き止められたからだった。










おずおずと顔を向けてみれば、うつむいたまま私の腕を掴む葵の姿があって、





驚いて、思わず葵を見つめてしまっていた。