「すみませ…」
顔を上げ、私を支えていてくれた人間と目が合ったとき
私は、言葉を失った。
それは、切なげな表情をする葵だったから。
ずっと、私が求めていた人物だったから。
「……はなして…」
やっと声が出せたけど、出てきた言葉は私が言いたいことじゃなかった。
凜が好きなの?
私とは別れたってことなの?
素直に言えたら苦労しない。
こんなにも、私は葵でいっぱいなのに。
それを説明するだけなのに。
なのにどうして、ホントのことが言えないんだろう。
前は、嫌いとか素直に思ったことを言えてた。
それがどうして、嫌いが好きになっただけなのに上手く言えないんだろう。
私の、ばか…。

