「牧瀬さん、ちょっといい?」






放課後、帰ろうとしていた私の目の前を見たことのない女の子たちが取り囲んだ。








どういう用件か、だいたい想像はつく。






「何か?」






つまらないことになったな、と思っていたら顔に出てたらしく




女の子たちは、ギロリと私を睨み付けた。




「何よ、めんどくさそうな顔して。生意気なのよ!」



「森崎くんも、なんでこんな子がいいのかしら!」







やっぱりこの話題か。






「別に別れたんだから、森崎は関係ないでしょ」






葵、なんて呼んだらややこしくなりそうだ。









「別れた!?何言ってんのよ、あんなにベタベタくっついてるくせに!!」




「…は?」






私がいつ葵にベタベタした?


むしろ、くっつかれてたのは私だ。





「あのねぇ…。」










文句を言おうと口を開くと、





「いいからこっちに来なさいよ!!」





と言って、腕を無理やり引かれた。