「じゃあ葵くん。行こうか」
と言って凜は、葵の腕をひく。
そんな凜に、葵は文句を言うわけでもなく黙って着いていく。
「葵…っ、待って…」
たまらずに葵を呼び止めると、ほんの少し振り返って
“ごめん…”
切なそうに眼を細めて、
口をパクパク動かしてそう言った。
そんな葵に、私はこれ以上話し掛けることなんか出来ず。
黙って二人の背中を見つめていた。
「…璃依、大丈夫か?」
後ろから、心配そうな隼人の声がする。
「うん、平気だよっ」
なんでだか知らないけど、私はすごく自然に明るく笑っていた。
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