「佐奈子と隼人くん、今日泊まって行くからね」
と、母はさらりと言った。
「今日はよろしくな、璃依」
いや、別にいいんだけどさ。私、苦手なんだよね隼人。
例えて言うなら…、葵を少し軽薄にした感じ。
そう、そんな感じ。
だから、葵よりたちが悪い。
「ふーん、そっか。ゆっくりしてってください」
ここはあえて敬語。
隼人ではなく叔母さんに言うつもりで。
それで私はさっさと部屋に戻る。
これっきゃない。
「…」
「じゃあ私、宿題あるから」
そそくさと部屋に戻る。
「璃依ちゃん、本当に綺麗になったわねぇ」
「お転婆娘よ」
「でもねぇ、隼人もそう思わない?」
「ああ、そうだね」
わずかに聞こえた隼人の声。
嵐が来る…。
璃依はこの時、想像もしなかった…。