『ん?』

 蜂蜜色の髪。
二重瞼は真ん丸に見開かれ、私を映している。

『あー、どうしたの?』

 用事があって出てきたはずなのに、私の用件を聞いてくれる。
その優しさに、気持ちが楽になった。

『木村 遼を呼んでいただけますか』

 兄の名前を出すと、先輩は肩の力を抜いた。

『おっけー! 遼ー』

『なんだよ……悠』

『お兄ちゃん、お弁当』