「悠ちゃ」 「先輩。私、昨日先輩がおでこに……き、きすしてから決意を決めました」 先輩を遮ってまで言った私に驚いたのか、先輩は苦笑いして、ひとまずは私に主導権を渡す。 ずっと、ずっと背後には絶壁があると思い込んでいた。 先輩が受け入れてくれることなんて、ありえないと思い込んでいた。 けれど、今なら。 この人は、私を。 「私は、将樹先輩のことが、大好きです」 とん、と崖を飛び降りた私を、この人は、見放すのか、 それとも。