「将樹のやつ、だいぶ焦ってたみたいだな」

「バイトあるもんね」

 電車がホールに入ってきた。
私の鞄はお兄ちゃんが持ってくれている。

「……だな」

 何か言いたそうな、珍しいお兄ちゃんに口を開こうとして、電車の扉が開く。
家に帰ってからでも聞いてみよう、そう思っておとなしく電車に乗った。

「悠、座れ」

 空いた席に座る。目の前にお兄ちゃんが立った。
なんだから安心して、心地よい揺れを感じながら、私はうとうとする。


 そして、私は完全に眠りについた。