恭子とは、席替えを機に話し出した。
それ以来、よくしゃべる友人になった。

 黒板には既に“伴奏者 木村 悠”の名前。
中学からの友人が私がピアノを弾けると言ったから、こうなった。

人前で弾くのが嫌なわけじゃない。
たまには、歌う側に回ってみたいと思う。
来年に期待しよっかな。


「ではこの三曲の中から選びまーす」

 実行委員が静かに、と言う。
曲は、今流行りの曲、定番の合唱曲、とジャンルに被りがない。

「恭子はどれ?」

「明日への扉かな、悠は?」

 小さく笑う。

「私も、一緒」