私は名前を告げた。

『妹の、木村 悠です』

『悠ちゃんか〜! 俺は、花園 将樹。よろしく!』

 悠ちゃん。
先輩が、私の名前を呼んだだけ。
なのに。


すごく、うれしい。



『はい、将樹先輩』

『また話そうね〜』

 時間がぎりぎりで、それ以上話せなかった。

私は急いで教室に戻った。

その日はずーっと、機嫌が良かった。
って、友達に言われるくらい、うれしい出来事だった。