「あ、うん!……あの、用っていうのはあたしひとりでやらなければいけないことで…だから、悪いんだけど…」
「ん?わかってるよ?私はここで待ってるからね。終ったら戻ってきてよ?」
「え?いいの?舞は教室とか、見たいんじゃないの?」
ここに来る途中“久しぶりに教室を見たい”と舞は確かに話していた。
あれほど必死に「一緒に行きたい」と頼んできたんだから、用はあるはずなのに…
「あー…えっと、気が変わったの!とにかく、私はここで待ってるから!」
「…?うん…ありがとう……じゃ、行ってくるね」
舞を校門のところに置き去りにしたまま、あたしは高校の敷地に入っていった。
振り返ると、舞は笑って手を振った。
………こうして舞を待たせるだけになるなら、やっぱり舞を帰らせておいたほうよかったのかも………なんて少し後悔しながら、目的地へと足を進める。
