辛いくらいに君が好き



「…いろいろと理由があってね。舞こそ、連絡なしにいきなり何の用だったの?」


「ふーん……え?私?さゆと私って最近、全く会ってなかったでしょ?連絡をしてもさゆったら出てくれないんだもん!元気にしてるか様子を見にきたの。今日だって連絡したんだけど、さゆケータイ見てないの?」



…そうだった…最近、全くというほど舞と会う時間が減っていた…。
お互いの仕事の都合もあったし、唯一の休みの日はゆっくりしていたいという思いもあったから…
何より、あたしの気持ちが不安定だったから、遊ぶという気分にはなれなくて…その理由から会う時間どころか、ケータイを見る癖自体も無くなって…解約しようとも思ったほどだ。



「ごめん、そうだったね……でも、今日はもう遅いよ?せっかく来てくれたのに悪いけど、帰ったほうがいいんじゃないの?あたし、これから出かけなくちゃいけないし、舞だって仕事帰りで疲れてるでしょ?」


「まぁ…前よりは元気そうだし、安心した!…私は大丈夫だよ。明日と明後日、休みをもらったんだ~!2週間ぶっ通しで仕事があって…休みなんて1日もなかったからね、2日なんて少ないくらいなんだけど……休みがあるし、本当に私は大丈夫。さゆさえよければ高校、ついていくけど?」



舞はCMプランナーという、テレビCMを作る仕事をしている。学生の頃から真直ぐに目指してきた夢だから、辛くてもやっていけるんだと思う。2週間の仕事は体がキツいと訴えていても、心にはまだ余裕があるように見える。



向き不向きがハッキリと別れる仕事らしくて、やっぱりセンスが無いとやっていけないらしい。
…舞はそこらの人よりもセンスはずば抜けて良いから、その面では大丈夫だと思う。


そして、あたしの仕事はウエディングプランナー。
簡単に言ってしまえば結婚する人のサポートをするアドバイザー的な仕事。
まだまだ見習いだし、これからっていうときなんだけど…しばらく休みをもらってしまった。
自分の気持ちがこんなに病んでいるのに、こんな気持ちのまま“結婚式”なんて幸せな時間を一緒に過ごすなんて、作るなんて、相手に迷惑だし失礼だ。