『ナツ…オレはもうとっくにオマエに負けてる。 オマエに心ごと持って行かれてお手上げだ。 オマエの勝ちだぜ。 だから…そんな顔するな。』 そんな顔って…どんな顔よ。 アンタの方が情けない顔してんじゃないのよ。 もう止めてよ、優しくしないで …泣きたくなるじゃないか。 「誠二…冗談は顔だけにして。」 泣き出しそうになる声を堪えて、 やっとそう呟いたアタシの強がりを、 切なげに笑った誠二の唇が易々と奪って行った。