…アタシは、この先を期待していたんだろうか。
自分の身体が少し火照ったのを感じながら、一向にアタシの上から退かない誠二の綺麗な首筋から胸を見つめて居た。
前は…この綺麗は首筋と厚い胸板に、時々キスマークが付いている事があった。
その赤い情事の印を見る度に、アタシは何とも言えない気持ちになった。
見てはいけない物を見てしまった気持ちと、何だかアタシだけ大人の階段から取り残されてしまったような気持ち。
喪失感にも似たような思い…。
今は誰のマークも付いていないけれど、その記憶が今になってアタシを苦しめる。



