気怠そうに椅子に座った彼に、彼女が覆い被さるようにして抱きついて、彼が彼女の綺麗な黒い髪を右手でかき上げながらキスを交わしていた。


彼女の白いうなじがあらわになる。


そして2人は艶めかしく何度も唇を合わせていた。



……エロイ。



いや、アタシがそう感じただけかもしんないけど、すごくエロティックで妖艶で、目が離せなくなった。


しかも目撃したのはウチの学校じゃ滅多に使われる事がない生徒指導室。


そしてそのめくるめく美しいラブシーンを展開していたのは…


隣の部屋に住む幼なじみの誠二だった。


ドアぐらいしっかり閉めとけよ!


と言いたい所だったが、たまたま覗き見みたいに目撃してしまったアタシは、その衝撃的シーンに目を奪われつつも、すぐに気まずくなってその場を立ち去った。


幼なじみの誠二はアタシが言うのも悔しいが、ものすごくカッコイイ部類に入ると思う。


あのラブシーンを見るまでは、あんなに妖艶さがあるなんて気づきもしなかったけど。