そして環を抱いた日に、環とオレは別れた…。
学校ではオレと環が別れたという噂が瞬く間に広がったけれど、鈍感バカナツだけは、気にも留めていないようだった。
ナツのヤロウ…本気になったオレを嘗めるなよ。
必ずオマエを捕まえてやるからな?
そういえば、今日はタイミング良くナツのおばさんが夜勤の日だ、ナツに仕掛けるなら今日が良い。
オレはそうほくそ笑んで、いつもより早く帰宅した。
玄関を開けるとエビチリの匂い。オレの好物だ。
部屋に入ると、ナツは既にエビチリを作り終えて帰ろうとしていた。
オレの好物を作っておいた割には態度がおかしい…。
ナツ…また何か仕込みやがったな?
『食って行かねぇのか?』
そう問いかけると、ハンバーガーがあるからと断りやがった。
ナツの事だ、どうせエビチリを激辛にでもしやがったんだろう。長い付き合いだ、コイツの考えそうな悪戯なんてすぐ分かるぜ。



