だから環には悪いけど
『今日で偽りの関係は終わりにしよう。』
環はもうオレなんかに頼らなくても大丈夫だ。
そう一気に伝えると、環の肩が一瞬震えたように見えた。
「…分かった。誠二君、今までこんなアタシの我が儘に付き合ってくれて本当にありがとう。」
少しの間を置いて環はそう了承してくれた。
少し寂しそうな顔をしたように見えたが、きっとそれは夕陽のせいだろう。
「誠二君…最後にお願いがあるの。
最後に…アタシを抱いて。」
は?
……今何て?
驚いて環を見ると、環は自分の身体をギュッと抱いて言った
「前の彼にね…、抱かれた記憶がどうしても消えないの。だから…最後に誠二君に記憶を上書きして欲しいのっ。…ムリな事言ってるって分かってる。我が儘だって分かってるの、…でも誠二君じゃなきゃダメなの。…誠二君じゃなきゃ消せないっ…。」
環は言いながら泣いていた。



