次の瞬間、山口先生の口から
思いもよらぬ言葉が飛び出した。

【僕の事命になっちゃえば、
M先生の事なんかあっさり
忘れられるんちゃう?(笑)】

これは...山口先生なりの冗談なのだろうか?
それとも...一瞬ドキッとした…


『そうなれれば、楽かもしれんね…』
私はそう言ってその場を離れた。

その瞬間から私の山口先生へ対する
思いが、恋心へと変わっていった。

そして、あんなにもスキだったM先生の事は
みるみるうちに忘れていった。



だがしばらくは、山口先生の事を好きだと
認めることが出来ず、自分の気持ちに嘘をついていた。

“教師となんて…M先生の繰り返しじゃん”
M先生と山口先生は違うはずなのに、どうしても
その思いが頭から離れなかった。



それから毎日というものの
山口先生は必ず私に声を掛けてくれた。

【おはよ―。】
【今日は授業寝たらあかんで。笑】
【もう、M先生の事大丈夫?忘れられた?】
【今日はもう、吹っ切れた??】

山口先生の言葉一つ一つが、
すべてを失った私の唯一の心の支えだった。

M先生の事を忘れていくにつれ
山口先生を思う気持ちはどんどん大きくなっていった。
それは自分でも抑えきれなくなり、
“山口先生が好きだ!!”と認めるようになった。