山口先生に話を聞いてもらって少しは楽になったら
まだそんなにすぐ立ち直れずにいた。

学校へ行っては、突然泣き出したり、
授業も聞けず机に座ったままボーっとしたり。
そんな日が何日も続いた...

 
とある日...山口先生の授業中。
数日間全く寝ていなかった私の体は限界に達し
気付けば授業中に眠ってしまっていた。

“授業中に寝た人は必ず起こす”
がモット―の山口先生が私を起こさなかった。


昼休みの職員室、私は山口先生に呼び出された。

【井上さん、今日僕の授業寝てたね…(笑)
でも、最近疲れてた見たいやから寝てるの見て
正直安心したから、起こさんかったんよ。

体調は悪くないの?? ご飯食べれてる??】

これほど男の人に優しい言葉を掛けてもらったことはなかった。

『なんとか大丈夫、先生ありがとう。』

【実は、昨日M先生に会ったんよ。
それで、井上さんの事ちゃんと言っといたよ】

『M先生なんて言ってたんですか?』

【う...ん。としか言ってなかったわ…。
でも、ちゃんと怒っといたから大丈夫やでっ】

M先生にとって、あたしなんてちっぽけな存在だったのだろう。
そんな人をまだ忘れられずにいた自分が悔しくて悔しくてたまらなかった。