「あの、プ・リ・ク・ラ」 一音一音をはっきり区切ってその存在を思い出させられて、あたしは絶望した。 そうだ。 この男の手元には、あたしと里子のちゅープリが握られているのだ。 逆らったりなんかしたら、どうなることか。 あたしだけじゃなく、里子の人生も左右するものを握られているということに、あたしはショックを隠せない。 あからさまにおとなしくなったあたしの耳元に囁かれる、甘く低い声。