タバコを口に咥えて火をつける。
タバコを吸ってる先生を見て、昨日のことが思い出された。
「いる?」
タバコの箱を私に見せる先生。
「いらない」
思い出しただけで苦い味が口に広がっていくようだ。
「そっか」
先生はそう言って、タバコの箱をポケットにしまった。
咥えタバコでスケッチブックの何も描かれてない真っ白なページを開いて、リュックから色鉛筆を出してきた。
12色のどこにでも売ってある色鉛筆。
色鉛筆のフタを開けると、青色と水色と白色、それから赤色にオレンジ色の色鉛筆が他の色に比べて短かった。
たった12色の色鉛筆でこれだけの絵が描けるなんて……。



