「よぉ!」
なんて笑顔で手を上げる先生。
休みの日まで先生に会うとは……。
「何してんだ?」
先生はそう言うと、初めて会った時と昨日も持っていたリュックを足元に置くと、私の隣に胡座をかいて座った。
「暇だから散歩」
「そっか」
「先生は?」
「俺?俺は、暇な時はここによく来てるから……って、言ってもここに来たのはあれ以来かな……」
先生はクスッと笑う。
よく来るってことは……。
「先生んちもこの辺?」
「ん?あぁ、ここから車で10分くらいのとこにあるアパートで1人暮らししてる」
「そうなんだ……。じゃあ、先生んちと私んちって案外近いのかもね」
「あぁ……うん、確かに近いな」
自分から聞いといて、先生の家と私の家が近いことがわかると、私の胸は“トクン”と小さく鳴った。
何でだろう……。
ただ、家が近いっていうだけなのに……。



