空を見上げ、目を閉じてるとフワフワした気分になって、まるで空を跳んでるような感覚になる。
このまま空を飛べたらいいのに……。
空の上まで行って、この汚い現実から逃げられたら……。
私の心も少しは明るくなるのだろうか……。
その時、肩に“ポンッ”と軽い衝撃があった。
誰かに夢から現実に引き戻されたような……。
空を飛んでいた感覚はなくなり、代わりに体が“ビクン”と大きく跳ね上がった。
ゆっくり目を開ける。
私の隣に見える黒いスニーカー。
ゆっくり顔を上げていく。
スニーカーの次はジーンズが見えて、その次はグレーのパーカー、そして胸元に光るシルバーアクセ……。
見たことがある光景が脳裏に浮かんだ。
顔を上げきった時、隣に立つ人物を見て、私の目は大きく開かれた。
それに負けないくらい大きな瞳が印象的な……。
「…………せん、せ」
私はそうポツリと呟いた。
そこには笑顔で私を見下ろす先生が立っていた。