さっきまで車が多く、街灯やお店の明かりで夜でも明るく賑やかな国道とは違って、左折した道は街灯しかなく、車も先生の車しか通ってない寂しい道。
まるで別世界に迷い込んだ感じ。
「ここからどう行けばいい?」
「あ、右側に赤い屋根の建物があるの見える?」
「うん」
「そこを右折して下さい」
「了解」
先生は赤い屋根の建物まで車を走らせると、ウインカーを出して右折した。
「このまま真っ直ぐ行って下さい」
「わかった」
先生が車の速度を落として徐行運転する。
「そこの右側の角に建つ青い屋根の家がうちです」
「ここ?」
「うん」
先生が車を家の前に止めた。
「へぇ、いい家に住んでるな」
先生は運転席の窓から、うちを見てそう言った。
「そんなことないよ。普通の家だし。あ、送ってくれてありがとうございました」
「いや……」
「じゃ、また月曜日に」
「あぁ」
私は鞄を持って、車から降りた。
開けられた助手席の窓から、少し体を倒した先生が私を見た。
「じゃーな!」
「うん。あ、そこを右折したら赤い屋根の建物がある道に出れるから」
「了解」
先生は笑顔で手を振ると車を発進させた。
私は先生の車が右折するまで外で先生の車を見ていた。