私がタバコの箱を取っても何も言わない。
「はい、ライター」
私の膝の上にポンとライターを置いた。
私はライターを手に取る。
タバコの箱から1本、タバコを取り出した。
それを恐る恐る口に咥える。
まだ火をつけてないのに少し苦い味が口の中にした。
ライターの火でタバコに火をつける。
なかなかタバコに火がつかない。
先生は簡単につけてたのに。
何かコツがあるの?
「吸うんだよ」
隣から先生の声が聞こえた。
「えっ?」
吸う?
タバコの先端に火をつけながら吸ってみた。
先端が赤くなる。
火がついたんだ。
私は火のついたタバコを先生の真似して人差し指と中指で挟んだ。
そして加減がわからない私は思いっきり吸って……。
「…………うっ」
そう声が出たと同時に、勢いよく吐き出される咳。
風邪をひいた時のように咳が止まらない。
体を前に倒して咳込む私。
目からは悲しくもないのにポロポロと涙が出てきた。
美味しいのかマズイのかよくわからない。
ただ、咳が止まらなくて苦しくて頭がクラクラするだけだった。



