先生は私が承諾したと思って安心したのか笑顔で私を見た。
この渋滞が解けるのまで何分、何十分、何時間かかるかわからない。
夜中まで渋滞が解けないかもしれないし、もしかしたら朝までかもしれない。
それまで、この狭い空間に先生と2人きりでいることになる。
そう思うと、私の胸は“ドキン”と高鳴った。
そんな私の心の中なんか知るはずもない先生は、スーツのポケットに手を入れるとタバコを取り出した。
「タバコ吸っていい?」
「どうぞ?」
私の返事を聞くと、先生はエアコンを止めて運転席と助手席の窓を開けた。
夜の春風が車内に吹き込んできて、適温に設定されてたオートエアコンの風よりも気持ちいい。
先生はタバコを口に咥えると、ライターでタバコに火をつけた。



