「なぁ……」
ふいに声をかけられて体が“ビクッ”となった。
「な、何でしょう?」
「学校は?」
「えっ?」
私は彼を見た。
先生でも指導員でもないのに……。
何でそんなこと聞いてくるの?
「サボリ?」
「はい?」
「制服着てんのに真っ昼間からこんなとこいるからさぁ……」
「あー……」
私は自分の体に目線を落とした。
今日は3月1日。
卒業式の日。
2年生の私は、在校生として出席しないといけなくて……。
「図星?」
「えー……まぁ……」
私は目線を制服に落としたまま言った。
「学校、つまらない?」
「えっ?」
「サボったってことは、そうなのかなぁ……って……」
彼はそう言うと、河原に寝転び、手を頭の後ろに回して空を見上げた。



