「姉ちゃん、何て?」
「鍵、ポストに入れといてくれるって」
「そっか……」
先生はそれだけ言うと、再び車をゆっくり発進させた。
サイドミラーから見える学校が、どんどん小さくなっていく。
先生に送ってもらうんだ。
今、先生の車に乗ってるんだ。
そう思うと、私の胸は再び“ドキドキ”と鳴り始めた。
「藤井んち、どこら辺?」
先生は前を真っ直ぐ見て、運転しながらそう聞いてきた。
「えっ?」
「“えっ?”じゃねぇよ。俺、藤井んちわかんねぇから聞いたんだけど?」
そっか、先生は私のクラスの担任でもなければ副担でもない。
保健室の先生なんだ。
私の家を知らないで当然だ。



