『何?』
3回目のコールで電話に出たお姉ちゃんの声は不機嫌だった。
私が電話をかけると、いつもこんな感じ。
なのに男からの電話には猫撫で声で出る。
相手によって態度を変える女は、よく同性から嫌われるって聞くけど、お姉ちゃんは正にそんな女だ。
でも友達も多く、周りからは“明るくて誰にでも優しくて、誰からも好かれる社交的な性格”と思われてるから不思議だ。
本当は最悪な性格のくせに。
「あのさ、お姉ちゃん。今、どこにいるの?」
『はっ?家だけど?』
良かった。
「家の鍵を持ってなくて……悪いんだけど、出掛ける時に鍵をポストに入れといてくれない?」
『何やってんのよ~!もぉ!』
お姉ちゃんはワザとらしく大きな溜め息をついた。
『あっ!ネイルが……。ネイルしてる時に電話して来ないでよ!』
「…………ゴメン。鍵、宜しくね」
『はいはい』
お姉ちゃんはそう言って、電話を切った。
耳に聞こえてきたのは“ツーツー”という虚しい音だけ。
やっぱり自己中なお姉ちゃんは好きになれない。
私は携帯を“パタン”と閉じるて鞄にしまった。



