「家の鍵を忘れたの!先生に解決出来る?」
「あー……」
先生はそう言うと、何かを考えるように前を向いた。
「そりゃ、無理だわ」
そう言って、再び私の方を見るとニコッと微笑んだ。
やっぱり……。
だからそう言ったじゃん。
「もう、いいっ!」
私は助手席の窓の方を向いた。
「普段から鍵を持ち歩かねぇの?」
私は先生の質問に“コクン”と頷いた。
家に帰れば、いつも母親がいるから鍵を持ち歩くことはなかった。
それに今日だって、親が旅行でいないって知ったのはお姉ちゃんから聞いたからで……。
私は何も知らなかったから、いつも通り鍵は持ってなくて、もし親がいないって知ってたら鍵を持って出てたと思う。