しゃがみ込んだ彼は、背負っていたリュックをドサッと下ろした。


そして座り直す彼。



「キミが思い詰めてるように見えたから……てっきり……」



そう言って力無く笑う彼。



「それに……」


「えっ?」



何?


まだ何か言いたいことでも?


何か言いたそうな彼を私は黙って見ていた。


でも……。



「あ、いや……何でもない……」



彼はそう言って軽く笑うと、私の隣に座ったまま動こうとしない。


何が言いたかったのか気になるけど、まぁいいや。


てか、いつまでここにいるつもり?


ひとりになりたいのに……。


まだ少し冷たい春の風が吹き抜け、彼の茶色のサラサラした髪を揺らしていた。