「出ないのか?」
「あ、いや……」
出ようかどうしようか悩んでる間も鳴り続ける携帯。
出た方がいいのかな……。
携帯の通話ボタンを押して、携帯を耳に当てた。
「も、もしもし?」
『ちょっと!梨音!?どこにいるの?』
「えっ……どこって……」
『パパとママが旅行で日曜日の夜までいないの。ママから家のことを頼まれたから、タクヤとの約束を断って家に帰って来てみたらアンタいないしさぁ……どこにいるのよ?』
お父さんとお母さんが旅行でいないことなんて今知ったし……。
てか、お姉ちゃんの声が怒ってる。
タクヤって人とデート出来なかったことと、私が家にいないかったからイライラしてるんだ……。
昔からそうだった。
妹の私と比べられて、自分が良いように言われることに優越感に浸ってた。
だからちょっとでも自分の思い通りにならなかったらイライラして私に当たって……。
“梨音のくせに”
それがお姉ちゃんの口癖。
そんなお姉ちゃんが私は大嫌いだった。



