彼は息を整え、ゆっくり近付いて来た。


そして私の肩にポンッと手を乗せる。


えっ?な、何?


私の肩に乗った手に目をやったあと前を向くと、大きな瞳が私を捉らえていた。



「大丈夫か?まだ若いんだから、生きてれば良いことあるから……」



真剣な顔の彼。


はい?


…………ぷっ。



「ブハハハハ……」



おかしくて思わず吹き出してしまった私。



「へっ?」



間抜けな声を出す彼。



「何か、勘違いしてません?」


「はい?」


「自殺なんてしませんよ」



ここではね。


今はね。


それに今は、それな勇気がないだけ。



「な、なーんだ……アハハハ……そかそか……そっかぁ……あぁ、ビックリした……」



彼はそう自分に言い聞かせるようにブツブツと呟くと、体の力が抜けたように、その場にヘナヘナとしゃがみ込んでしまった。