ドアを開けたと同時に、椅子に座っていた先生が立ち上がって私の傍に来た。
心配そうな顔をして私を見る先生。
「何も食べてないからかなぁ?胃液しか出なかった」
ハンカチで口を押さえながらそう言った。
「なぁ、藤井?早退するか?お前、顔色悪いぞ?」
「大丈夫。寝てれば治るから……」
今、この時間に家に帰ったら、また何を言われるかわからない。
本当に調子が悪くても信じてもらえないかもしれない。
また、お姉ちゃんと比べられちゃう……。
そんなことを思うと、頭痛が激しさを増した。
「本当に大丈夫か?」
「うん……」
私はそう返事をすると、ベッドのある部屋に行った。
スリッパを脱いでベッドに上がる。
別に寒くもないのに、布団を肩までかけた。
頭が痛い事も……家族の事も……忘れたい。
その一心で、体を横向きにして猫のように体を丸め、頭までスッポリ布団を被って、再びギュッと目を閉じた。