「あのさ、梨音……」
「ん?」
私は隣にいる先生を見上げた。
白くて長い綺麗な指に挟まれたタバコ。
タバコを吸う先生の横顔。
私の胸をドキドキさせる。
「河川敷で2回目に会った時、梨音が言ってただろ?」
先生は真っ直ぐ海を見つめたままそう言った。
「何を?」
私は先生を見上げたまま首を傾げた。
「生きる意味って何?って……。そう俺に聞いてきたろ?」
「うん……」
あの頃の私は自分が何で生きてるんだろう……。
生きる意味って何だろう……。
そんなことばかり考えてた。
「で、俺、言ったよな?いつか必ず答えてやるから答えは保留って……」
「うん」
「梨音がこれから生きて行く意味。今ここで答えてやるよ」
先生は私を見下ろした。
指に挟まれたタバコがジリジリと短くなっていく。
ユラユラと揺れる煙り。
先生は携帯灰皿を出して、そこに短くなったタバコを押し付けた。



