「でもね、でもね、先生!」
「ん?」
「私、美空さんの声が聞こえたんだ」
「えっ?」
さっきまで笑ってた先生の顔が、私の言葉で急に真面目な顔になった。
「確かに聞こえたんだ。美空さんの声が……」
「何て言ってた?」
「雪?大丈夫だよ。梨音ちゃん、雪をよろしくねって……。でね、振り返ってお墓を見たら、白いワンピースを着た美空さんが立ってて……私に微笑みかけるとスーと消えたんだ……」
あれは夢や幻なんかじゃない。
「そっか……」
先生はそう言って空を見上げると「美空、ありがとう……」と空に向かって呟いた。
「でもさぁ、美空が俺じゃなくて梨音に会いに来たなんて何か俺、すっげー複雑なんですけどぉ……」
先生は私をチラッと見て力無く笑うと、スーツのポケットからタバコを出した。



