どのくらい泣き続けたんだろう……。
瞼がズキズキ痛む。
先生の胸から顔を離して、先生を見上げると、すっかり涙が乾いた先生が私を見下ろしていた。
「やっと泣き止んだか。泣き虫な梨音ちゃん?」
先生がクスクス笑う。
「うぅっ……」
先生だって泣いてたくせに。
「その目じゃ、まだ帰れねぇな」
「そうだね」
「外、出てみる?」
「うん」
先生はエンジンを切った。
そして私と先生は車を降りて外に出る。
「さむっ!」
「寒いね!」
ここは小高い丘の上でも海に近い場所。
潮風が吹き上げてくるから寒い。
私と先生は駐車場のフェンスのところに行った。
車の中から見るより海がよく見える。
「寒いな~!」
「そうだね。……あ、でもね……」
「ん?」
「お墓から帰る時に風が吹いたでしょ?春風のように暖かい風が……」
「は?風なんか吹いてねぇよ?」
「うそ、だってフワッて……」
「お前、夢でも見てたんじゃねぇの?」
「えぇ!そんなことないよ~!確かに吹いたもん」
「はいはい」
先生は笑いながら私の頭をポンポンとした。
何で?
何で先生には感じなかったんだろう……。
あの風は私が美空さんの姿を見つけるために吹いた風だったのかな?