「藤井?」
先生の声がして目を開ける。
「あ、はい……」
「小山先生に言っといたから」
「すいません……」
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴ったと同時に、体温計の測り終わりを告げる小さな電子音が鳴った。
「体温計、貸して?」
先生が手を出す。
私は脇に挟んであった体温計を取って、先生に渡した。
「36度5分かぁ……」
先生は独り言のようにそう呟くと、私の方を見た。
「熱はないな。でも、ゆっくり寝てろ」
「はい……」
先生は白衣のポケットに体温計を入れるとベッドの部屋から出て行った。
頭は相変わらず“ズキンズキン”と一定のリズムを刻んでいる。
寝てれば痛みも吐き気も忘れて治るはず。
そう思っていたのに……。



