「……ズルい」
「はっ?」
「先生はズルいよ……。美空さんのお墓の前で、あんなこと言って、私のこと抱きしめて……。私の気持ちを揺るがす先生はズルいよ……」
「あぁ、そうだな」
先生が私の頭を優しく撫で続ける。
「でも、しょうがねぇだろ?美空の墓の前で言ったことは本当のことなんだから……」
「でも先生は、そんなこと一言も言わなかったじゃん。私を抱くときだって、私と会ってる時だって“好き”や“愛してる”なんて、そんなこと一言も言ってくれなかったじゃん……」
「お前さぁ、どんだけ鈍感なんだよ」
先生がクスクス笑う。
「えっ?」
「そんな言葉、言わなくても俺の梨音に対する態度を見てたらわかるだろ、普通」
私は首を左右に振った。
わかんない。
「何でわかんねぇかなぁ……」
先生はそう言った後、小さな溜め息をついた。



