えっ?
後ろから先生の手が伸びてきて、ドアに手をかけていた私の手をドアから離した。
振り返り先生を見る。
「……ったく!しょうがねぇなぁ……」
先生はそう言ってクスッと笑うと、車をゆっくり動かした。
「えっ?ちょ、ちょっと、先生?」
家からどんどん離れていく。
「そんな腫らした目で帰せるかよ。卒業式から何時間経ってると思ってんだ?そんな腫らした目で帰ってみろ、お母さんがビックリするぞ?」
「…………」
私は何も言えず俯いていた。
「俺の最後のお願いを聞いてくれたからお礼に、梨音に付き合ってやるよ」
「えっ?」
顔を上げて運転している先生の横顔を見る。
「特別だからな?」
先生は私に笑顔を見せると、真っ直ぐ前を向いた。



