「そいつさぁ、どうしようもないヤツなんだよ……。俺が守ってやらなきゃって思うくらいどうしようもないヤツなんだ……」
えっ?
「でもな、俺、今日そいつにフラれたんだよ……」
せん、せ?
「しかもさ、フッた理由が何だと思う?俺のことが好きだからなんだって。俺のことが好き過ぎて怖いんだってさ。両想いだとわかったのにな……。笑えるだろ?」
何で?
「なぁ、美空?どうしたらいい?俺、どうしたらいい?」
先生の声は震えていた。
ズキンズキンと痛んでいた胸がドキドキに変わっていく……。
「俺さぁ、そいつのことが本気で好きなんだよ。
美空と出会った頃のように、そいつと会うたびに胸がドキドキして……。
そいつを好きな気持ちがだんだん大きくなって、破裂しそうなくらい大きくなって……。
本気で、そいつを守ってやりてぇと思ったんだよ……」
ぽた、ぽた、ぽた――。
コンクリートで舗装された地面の上に涙が落ちていく……。
次から次へと、降り始めの雨のように、ぽた、ぽた、ぽた、と落ちて、乾いたコンクリートを濡らしていく……。



