私と先生が住んでる地域と反対方向に車を走らせていた。


私は結局、先生の最後のお願いを聞くために車に乗ってる。


先生にかけられた魔法を解くことが出来なかった。


シンと静まり返った車内。


先生も私も黙ったまま。


私は外の流れる景色を助手席の窓から眺め、先生はタバコを吸いながら真っ直ぐ前を向いて運転していた。


先生の車はバイパスを走り、途中で右折をして、片側1車線の道を走る。


しばらく走り、橋を渡って右折して、車がギリギリすれ違うことが出来るような狭い土手道を走らせて行く。


私は一体、どこに連れて行かれるんだろう……。


先生のお願いって何だろう……。


助手席の窓から見える工場の煙突を見ながらそんなことを考えていた。