「梨音!」



保健室を出ようとした時、先生に名前を呼ばれ足が止まった。



「梨音、待って?」



足が止まったまま動けなかった。


先生なんか無視して保健室から出ようと思えば出れるのに……。


いつも私の思いとは反する体。


いつもそうだ。


先生に名前を呼ばれると、魔法をかけられたみたいに体が動かなくなってしまう。



「なぁ、梨音?俺のお願いを聞いてくれないか?」


「お願い?」


「俺から梨音への最後のお願い……」



“最後のお願い”


その言葉を聞いて、私の胸は“チクチク”痛みだす。


自分から先生を突き放したくせに……。


何で?