彼女たちが保健室を出て行った後、体の力が一気に抜けた。
自分の体が床に近付いて行く。
スライド式のドアがガタガタと音を鳴らす。
あぁ……もうダメだ……。
「ちょっ!藤井!?大丈夫か?」
床が目の前に来る寸前、先生が私の体を支えてくれた。
そして体がフワッと宙に浮く。
…………えっ?何?
爽やかなマリン系の香水の香りとタバコの香りが鼻を掠める。
「せ、先生?」
私の上に先生の顔。
そして宙に浮いた私の体。
この時、初めて先生にお姫様抱っこされてることに気付いた。
静かだった胸の鼓動が急に速度を上げて鳴り出す。
顔から火が出てるんじゃないかと錯覚するくらい顔が熱い。
「せ、先生!?下ろして!」
「大人しくしろって!暴れたら落ちるぞ」
慌てる私にお構いなしに、先生は保健室の奥のベッドのある部屋に私を連れて行った。



