「梨音?同情なんかじゃないよ?俺、言ったよね?梨音のことを守るって……」



先生の言葉に、あの時のことが頭に浮かんだ。


“俺が藤井のこと、守ってやるからな。大丈夫だから何も心配するな。俺が守ってやる……”


先生がそう言ってくれた言葉を思い出す。


私は何も言わずコクンと頷いた。


先生は私の体をギュッと抱きしめた。



「俺、梨音のことを守ってやりてぇんだ……。梨音を苦しみや悲しみから解放してやりてぇんだよ……。それは同情なんかじゃない。本気でそう思ってんだよ……」



先生は時々、言葉を詰まらせながらそう言った。



「先生……」



私の目からもポロポロと涙が落ちていく。


先生を見上げると先生も私を見下ろしていた。


交わる視線。



「今すぐ返事が欲しいなんて言わない。ただ、俺の気持ちをわかって欲しい……」


「…………うん」


「俺、梨音を泣かせてばかりだな。梨音の泣き顔なんて見たくねぇのに……ゴメンな……」



私は首を左右に振った。



「梨音?」


「ん?」



先生に名前を呼ばれて、返事をすると……。


先生の唇が私の唇に重なった。


先生とのキスは溶けそうなくらい熱く深いキスだった……。