階段を下りると、階段の前に今日は母親じゃなくて父親が立っていた。
「どこ行くんだ?」
「どこだっていいでしょ?」
「そんな荷物持って、帰って来ないつもりか?」
父親は私の手に持ってるボストンバッグをチラッと見た。
「…………」
私は父親の言葉を無視した。
「夏休みから急に外泊が増えたみたいじゃないか。男か?男がいるのか?」
「お父さんには関係ない!」
「関係ないことない!そいつはどこの誰なんだ!」
「関係ないじゃない!もう、ほっといてよ!」
父親の脇を通り過ぎようとした時、父親に腕を掴まれ、そのまま壁に体を押し付けられた。
唇を噛み締め、父親を睨みつける。
「何だ、その顔は!」
“パンッ!”
頬に鋭い痛みが走った。
その後、右頬がジンジンと痛みだす。
口の中が切れたのか、血の味が広がる。
父親に生まれて初めて殴られた。



