親が私を大学に行かせたい理由はわかる。
世間体。
自慢話のネタ。
そんなもんだ。
でも小山先生は……。
小山先生は関係ないじゃん。
進路指導室から保健室に行ってる時、ポケットの中のマナーモードにしていた携帯がブルブル震えた。
携帯を取り出して、開いて見ると母親からの着信。
何だろう?
「もしもし……」
『梨音?今、どこいるの?』
「学校だけど?」
『話があるから早く帰って来なさい。お父さんも今日は早いから……』
「わかった……」
私はそう言って、まだ話していた母親を無視して一方的に切った。
話があるだなんて……どうせ進路のことでしょ?
はぁ……。
私は先生に【今日は帰るね】と一言書いてメールを送信した。
そして保健室とは反対方向に体を向け、生徒用の玄関に向かった。



