職員室の隣にある進路指導室。
“コンコン”
ドアをノックすると、中から「どうぞ?」という小山先生の声が聞こえてきた。
「失礼します」とドアを開けて中に入る私。
パイプ椅子に座った小山先生がいた。
「座って?」
「はい……」
私は机を挟んだ向かい側のパイプ椅子に座った。
小山先生は机の上で手を組んだ。
20代後半で、なかなかイケメンの小山先生。
既婚者だと主張するかのように左手の薬指に輝く指輪。
結婚していても小山先生は男女問わず人気のある先生だ。
「あのさ、藤井?これなんだけどな……」
小山先生が机の上に出して来たのは進路調査表。
あ、私と先生のことがバレたんじゃないんだ。
私は胸をホッと撫で下ろした。